10ページ目

(4)在日外国人と・・・【伝えるってナンだ? 情報保障から考える】

「伝わるってナンだ? 情報保障から考える」の4回目です。4回目も前回に引き続き“在日外国人と情報保障”を対談形式で考えていきます。
前回はこんな話でした。

Chabin(以下、C):
戻らないと決めた日本に戻ろうとしたきっかけは?

神田すみれさん(以下、神):
台湾で知り合った、現在の夫が日本に一緒に戻ろうといってくれたからです。日本には戻る場所はないと思っていたので、自分の家にこればいい、自分の家だと思えばいい、と言ってくれたのは大きかったですね。彼は元々2年の留学の予定だったので、予定通り帰るということで。私も、このチャンスを逃したら一生日本に帰ることはできないだろう、もう一度日本で暮らすことにチャレンジしてみよう、と思ったんです。

C:
帰国してからはどうでした?

神:
大変でしたが、アメリカから戻ってきたときと比べると天と地です。物理的な居場所があるかないかは大きな違いでした。どこの誰かわからないような私を数ヶ月おいてくださった彼の両親にはいまでもとても感謝しています。

C:
しんどい時はしんどいもいえなくなります。きつかった時期を思い出しました。変に自分を過小評価したりしてたこともありました。

神:
うんうん、わかる、そのかんじ本当にしんどいときって、助けを求めることすらできなくなっちゃうんだよね。

C:
日本に帰って落ち着いてから、何を感じました?

神:
これからどうしようという不安、かな。自分が何をしたいのかもわからなかったですし。光のみえないトンネルにいた感じです。

C:
光のきっかけは?

神:
瀬戸市国際センターでのボランティアコーディネートの仕事が大きな転機でしたね。愛知万博の開催に合わせて、ホームステイ事業の運営をする仕事でした。仕事の内容は、ホストファミリーの募集や研修、ホームステイゲストの募集、ホストファミリーとゲストとのマッチング等でした。

C:
大変そう。

神:
それがとても面白かったんです。周りからも褒められることがあったりして。

C:
仕事とかタスクに取り組む時、周りの人の存在とか考え方ってものすごくおおきいんですよね。

神:
そうそう!このときはすごく助けられた。それまではなかった評価、海外での体験がマイナスではなく、プラスになったんです。そのとき、面白いなあと思いました。

C:
その仕事を経験してからの興味は?

神:
本当に関わりたいことを模索しはじめました。この土地でやっていく覚悟ができた、というか。
大学院とNたま(*)を同時に開始したんです。

C: 
大学院では、どんな研究を?

神:
「東海地域に暮らす外国人」です。
論文は結局、外国人支援に関わる人たちについて書きましたが。

C: 
あちらこちらに赴いたのでは?

神:
そうですね、高山のソムニードには毎月通いました。
他にもいろんな人にインタビューさせていただいたり。外国人医療センターでスタッフをしていたのもその頃ですね。外国人相談者が行政の相談窓口にきても、そのあとのフォローができないことが悩みでした。同じ時期に、仕事では出稼ぎ労働者、院ではアジア各国からの優秀な留学生と付き合うなかで、留学生に労働者の現状を知ってもらいたい、というおもいもあり県から助成金をもらって、同行通訳を派遣する活動をはじめました。

C:
悩みがつきないという感じですか?

神:
私の悩みではなく、社会制度、システムの悩み、ですね。このころから、私の個人的な悩みとは 別に社会システムをなんとかしたい、という想いがでてきたのでしょうね。

C: 
なにか変えるために考えはありました?

神:
なにもないです。いまも手探り、模索です。
出会った人の困りごとをその人だけの困りごとにしないこと。は意識しているかな。
わたし自身の困りごとも、きっとほかにも同じように困っている人がいるはず、という視点でその問題を解決することが大事だとおもっています。

C: 
その人だけのこまりごとにはしないように 具体的には?

神:
制度をつくったり、サービス化する、というかんじです。
院のときは、同行通訳を派遣する団体を立ち上げたりしました。
いまは、外国人に限りませんが、おせっかいプロジェクトという団体で、地域の人たちの困りごとの解決や相談にのるという活動もしています。

C: 
すみれさんの行動力すごいです。

Nたま(*)  
「次世代のNGOを育てるコミュニティ・カレッジ(NGOスタッフになりたい人のためのコミュニティ・カレッジ」の通称。将来、NGOスタッフとして活躍する意志のある方を対象にした半年間の研修プログラム。
特定非営利活動法人 名古屋NGOセンターが実施・運営をしている。

ここまでは、神田さんにフォーカスしました。話は佳境へと入っていきます。

この「伝わるってナンだ? 情報保障から考える」は毎月第3木曜の夕方に更新していきます。次回も在日外国人と情報保障について対談形式で考えていきます。

飯田線秘境号【午前編】

飯田線秘境号レポート2回目と言っても秘境号に朝からのるまでを。

当日が来た。名古屋駅についてとりあえず飯田から名古屋のJRきっぷを買おうと広小路口に行くが案の定みどりの窓口は開いてない。前日に調べても出てこない。仕方なく、中央コンコースのみどりの窓口にいく。とにかく時間がない。かといって時計をみる時間もない。無事きっぷは買えた。名鉄バスセンターにいき、きっぷも買えた。発車10分前。ふー。

おはようございます。飯田線秘境号当日です。朝から名古屋駅を走りまくりなんとかバスに乗れました。なにかやらかしてないかと緊張しまくりで家から持ってきたお茶がなくなりつつあります。今日もよろしくお願いします

iphoneをもって初めての遠出。radikoでラジオ聞いたりpodcast聞いたり、bluetoothで接続したキーボードを使ってメールしたり。快適だ。あっという間に恵那山トンネルを越え、飯田インターをおりた。

飯田市美術博物館に行く電気バスは10時飯田駅発。10時に飯田駅につけないということで乗務員さんに飯田市の地図を見ながら、いろいろきいてみる。

飯田着!


正面にリンゴの木

去年の秋以来だ。遠いのに、見慣れた風景。雨が心配だが、まあ午前はもつかな。コンビニで一休みして、自然博物館へむけて歩く。リンゴ並木を歩く。道の中央に遊歩道がある。歩いていて、気持ちいい。


サクラ?


もうすぐ美術博物館という時、サクラの木が目に入った。あと一週間早かったらという感じだった。その数日前NHKで高遠のサクラが見頃だと流れていたから、かなりがっかりしてしまった。まあそれ狙いじゃないしととぼとぼ歩いた。いかにも築年数がたったような小学校があった。飯田市の登録有形文化財の追手町小学校だ。1929年に建てられたらしい。美術博物館についた。つくなり、「11時から”飯田のサクラ”が上映されますよ。入ってください!」という声が聞こえるではないか。これはなんたる偶然とプラネタリウムに急いだ。歴史的な解説もされたが、残念ながらあまり覚えてない。とにかくきれいだった。報われた気分。飯田駅に行く電気バスは11時40分。


あと20分しかない。常設展示の「伊那谷の自然と文化」だけをみることにした。時代ごとのパネル展示。江戸時代に藩支配がころころ変わり入り乱れていたこと。人形浄瑠璃がさかんだったこと。なんでさかんだったかは、パネルではあまり詳しく触れられていなかった。そういえばと結びつくことがいくつか。飯田市で毎年人形劇フェスティバルが開催されている・中馬のおひなさま(足助)・飯田よりさらに南の地域に伝わる花まつりというまつり。なんだか関係がありそうだ。また調べてみたいテーマが増えた。


飯田自然博物館 伊那谷の歴史と文化 いろんなことがリンクしていく 。飯田線秘境号乗車まもなく


電気バスののりばについたのは、出発5分前。撮影タイム。


のんびりとオープンバスは走っていく。車や車に追い越されながら?。BGMは飯田のアイドル。いい感じだ。昼の場所は調べたが、いい感じの店を発見。いきなりおります宣言をしてなんとかおりました。

レポート3回目はいつになることやら。


(3)在日外国人と・・・【伝えるってナンだ? 情報保障から考える】

「伝わるってナンだ? 情報保障から考える」の3回目です。3回目は、“在日外国人と情報保障”を対談形式で考えていきます。

Chabin(以下、C):
お願いします。まず、自己紹介をお願いします。

神田すみれさん(以下、神):
15歳で交換留学生として渡米。大学卒業後、日本へ帰国するが浦島太郎状態。その後台湾で中国語を学ぶ語学学校へ通いながら、現地の学校で日本語教師として勤務。現在は名古屋外国人雇用サービスセンターで日系人就労支援ナビゲーター・相談員として勤務しています。

浦島太郎状態

C:
留学から帰国後の浦島太郎状態ってどういうことを感じたのですか?

神:
なんのつながりもなく、知り合いもいない。私が暮らしていたころとは、社会状況も周りも変わってしまっていた、という感じです。

C:
人とのつながりと社会状況 どちらのダメージが大きかったですか?

神:
両方ですね。でもつながりがないこと、かな。さみしかったですね。まずは仕事さがし、と思っても、なにをどうしていいかわからない。誰にきけばいいのかがわからなかったです。社会とまったくつながっていない、というさみしさも強かった。

C:
そんなことがどれくらい続きました?

神:
帰国して台湾へ出国するまでずっとでした。荷物全部もって引っ越して。もう日本には戻らない、と決めていましたね。

自分たちの居場所

C:
台湾での生活はどうでした?

神:
とても楽しかったです。日本人が多くて、すぐに友達ができました。みんな海外というか、日本社会から離れている生活なので、所属も仕事もなく、お互いにすぐ仲良くなりました。

C:
台湾での一番の思い出はなんです?

神:
難しいですね。台湾での生活は大きく分けて二つあって。前半は、語学学校で日本人のともだちがたくさんできたこと。毎日日本人みんなでご飯をたべたり、夜中に大学のキャンパスでおしゃべりしたり、ビリヤードをしたり。それが一番の思い出。もう一つは仕事をはじめてから。台湾人の語学学校の学生のみなさんと夜、屋台でご飯をたべたり、ナイトマーケットに繰り出したり、カラオケに、行ったり。

C:
大学のサークルのことを思い出しました。サークルの部屋いくとマンガを読んでいる人がいたり・・・。

神:
そういう空間や時間って、実はなかなかないんですよね。貴重だとおもいます。

C:
いったん社会に出ちゃうと。

神:
ですね。


夜 細い階段道 両側にはピンクの提灯 千と千尋の神隠しのモデルかといわれた場所のひとつ

台湾・九份


まだまだ対談は続きます。「人と人とのつながりってものすごくささいなもので満たされるんだなぁ。」と日々感じています。だけども・・・というところについても来月触れます。

この「伝わるってナンだ? 情報保障から考える」は毎月第3木曜の夕方に更新していきます。次回も在日外国人と情報保障について対談形式で考えていきます。

ひさしぶりのおいせさん


何年かぶりに伊勢神宮に行った。車で行った。式年遷宮以来初だ。いつぶりかはきになるけど覚えてない。いつもは鳥居のそばの駐車場に止めるが、今回は宮川の河川敷に。橋を渡るために、川岸を歩く。宮川の水の綺麗さに驚く。初夏の晴れた日。気温が上がるだろう。



まず、赤福を頂く。冷凍事件があったのもだいぶ前だ。店は普通に活気があった。冷茶がおいしい。ひさびさの赤福もとてもおいしかった。



門前町をあるく。いろんな看板や呼び込みがくすぐる。歩いてたら、古民家を改装したファミリーマートがうわさには聞いていたが、マッチしている。



鳥居の前で一礼して気が引き締まる。橋を渡り、砂利道を歩く。歩きにくいが、しょうがない。空を見上げる。すがすがしい。洗い場で手を洗う。また気が引き締まる。

森を進む。リラックスして歩を進められた。

本殿の下についた。後は階段を登るだけ。人がいっぱい。細心の注意をはらい階段をのぼり、お参りした。張り詰めた気持ちが肩の荷が降りたような感覚に変わった。帰路につく。歩いているが、歩を進めるたびに行きとは違うリラックスした感じに。

橋を渡りまた一礼。今度は、いつこれるのだろうか。


海に向かって建つ鳥居

桑名側の宮の渡しの鳥居(2014年1月撮影)


三重・桑名側の七里の渡しに鳥居がある。江戸時代のおかげ参り、江戸から15日・名古屋からでも3日かかったらしい。今は名古屋からだと高速で2時間半ぐらい。崇高さはかわらないが、時間をかけるという意味での価値は残念ながら落ちてしまった。手軽だから、また来れる。すぐそばだからまた行ける。それでそこに愛着がわける。どっちがいいのだろうか。

また行ける日まで、元気に過ごせますように。


(2)障害のある人と・・・ 【伝えるってナンだ? 情報保障から考える】

「伝わるってナンだ? 情報保障から考える」の2回目です。2回目は、“障害のある人と情報保障”を対談形式で考えていきます。

Chabin(以下、C):
よろしくお願いします。まず、自己紹介をお願いします。
ヨッシー(以下、ヨ):
名古屋市に住んでいますヨッシーです。現在は、名古屋盲人情報文化センターで点字出版の仕事をしています。今回、大学時代から今までを振り返る良い機会になればと思います。よろしくお願いします。

点字出版って・・・

C:
点字出版って何をやるのですか。
ヨ:
えっと広報や各種お知らせなど、自治体や企業からの点字版の受託物制作、新刊本の発行やら、 点字名刺、案内板などの点字サインの監修、 UV加工など。
C:
やることおおいですねえ。 点字サインにJIS規格があるとか聞いたことあるんだけど・・・。
ヨ:
2006(平成18)年に、公共施設や設備における点字の表示原則や表示方法について定めたJIS規格「高齢者・障害者配慮設計指針―点字の表示原則及び点字表示方法―」が公表された。2000年には、点字ブロックの標準化(JIS規格化)が公表されたかな。2002年に社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会が公表した「視覚障害者の安全で円滑な行動を支援するための点字表示等に関するガイドライン」って本は手元にあって読んでいる。
C:
それ、気になるかも。何が書いてあるの?
ヨ:
案内板の中の階段や改札口などのサインはこの記号を仕えとか、凡例は左上とか・・・。



点字に関する資格

C:
点字に関する資格があるとか?
ヨ:
点字技能師か。 点字指導員もあるかな。
C:
どういう資格?
ヨ:
点字に関する卓越した知識・技術を有する方に対して資格を付与することにより、点字関係職種の専門性と社会的認知度を高め、合わせて点字の普及と点字の質の向上を図り、視覚障害者に的確な情報を提供することを目的とする。点字指導員は事前課題と3日間の講習と最後に試験に受かれば認定されるよ。

読み上げ機能があるけど・・・

C:
今パソコンとかケータイとかの読み上げ機能とかあるけど、そんな中でも点字にする意義ってどこにあると?
ヨ:
やっぱり音声だと受動的な情報入手になるから聞き流すならいいけど頭に入りにくい。 勉強や本を読むなら、点字が理想。すぐ戻って確認できたり、読みたいところにすぐいけたり、自分のペースで読み進めることができる。人の名前とか聞きにくい言葉は、間違えて聴いて覚えてしまうこともあるし、点字なら確実。まあ音声も好きだけどね。点字を読むより、聴くほうが速度的に早く読めるからたくさん情報をしれた気になるし。まあ理想をいえば全部点字で読みたいけど、点字はかさばってしょうがない。
C:
大学の数学だけは手書きでノートしていたな。 パソコンだと頭にはいらない気がして。 数式をパソコンで書く方法もあるけど。
ヨ:
自分も数学は帰ってから点字で打ち直したりしていたな。

対談後記

少し、gdgd感が残りました。今回は、視覚障害・点字に焦点を当てました。点字の世界は本当に奥深そうです。最後もちらっと出てきましたが、この時はこの方法で、あの時はあの方法でと、その時々でやり方を変えることで広がる世界はとてつもなく大きいです。

この「伝わるってナンだ? 情報保障から考える」は毎月第3木曜の夕方に更新していきます。次回は、在日外国人と情報保障について対談形式で考えていきます。